入れ歯安定剤は、入れ歯のフィット感を向上させ、ズレや違和感を防ぐために使用する補助的なアイテムです。
口内で入れ歯が安定するため、食事や会話をスムーズに行えるようになりますが、入れ歯安定剤の使用は一時的なものにとどめておきましょう。
今回は、入れ歯安定剤を長期間使用してはいけない理由を解説します。
入れ歯の問題が解決しない
入れ歯安定剤は、そもそも入れ歯が緩い、安定性が低いという問題が生じているがために使用するものです。
しっかり患者さんの口内にフィットした入れ歯であれば、基本的に安定剤を使用する必要はありません。
つまり入れ歯安定剤を長期間使用するという行為は、合わない入れ歯をそのまま使い続ける行為だということです。
また顎の骨の吸収や噛み合わせなど、患者さんの口内環境が原因で入れ歯が不安定になることもあります。
これらの問題を放置して安定剤を使用していると、総合的な咬合力の低下や知覚過敏などを引き起こします。
化学物質の影響が出る
入れ歯安定剤を長期間使用することで、化学物質の影響が出ることも考えられます。
入れ歯安定剤は当然安全性を考慮した上でつくられていますが、多くの場合化学物質を含んでいます。
そのため、安定剤の成分が口内にとどまることにより、アレルギー反応や刺激を引き起こすことが考えられます。
特に敏感な方の場合、バイ菌感染や炎症を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
入れ歯安定剤は、使用後しっかり口内から除去しなければいけませんが、食べカスなどと同じように洗い残しが入れ歯や口内に付着することがあります。
このようなケースでは、前述した化学物質の影響を受けやすくなります。
依存してしまう
前述した通り、入れ歯安定剤は本来ピッタリフィットした入れ歯にとっては必要のないものです。
しかしわずかな違和感を改善するために安定剤を使い続けると、そのときの装着感に慣れてしまい、依存することが考えられます。
また依存してしまうと、例えば外出先などで安定剤を忘れたとき、そのまま入れ歯を装着して食事や会話をすることが苦痛になります。
まとめ
入れ歯安定剤は非常に優れた補助アイテムであり、患者さんはさまざまなタイプから自身に合ったものを選択できます。
しかし安定剤を使用する場合、入れ歯や自身の口内環境に問題が生じているのを表しているということを忘れてはいけません。
そのため入れ歯の違和感や不快感を覚えた場合は、安定剤を使用しつつ、なるべく早めに歯科クリニックに相談して調整や再作製をすることをおすすめします。
