歯周病が非常に厄介な疾患とされる理由は多々あります。
例えば、一度発症するとなかなか完治しないことや、さまざまな全身疾患につながることなどが挙げられます。
また歯周病と関係のある症状の一つに、貧血が挙げられます。
今回は、歯周病と貧血の相関関係について解説します。
貧血の概要
貧血は、血液中の赤血球の数、赤血球に含まれるヘモグロビンの量が正常値を下回る状態です。
ヘモグロビンは、酸素を全身の組織や臓器に運ぶ重要な役割を担っています。
そのため、不足すると身体全体に十分な酸素が供給されず、身体の不調を引き起こします。
例えば疲れやすさや全身の倦怠感がひどくなったり、めまいや立ちくらみ、動悸や息切れといった症状が現れたりすることがあります。
歯周病が貧血に与える影響
歯周病がある程度進行すると、歯茎が腫れて出血のリスクも高まります。
こちらの出血が長時間続くと、体内の鉄分が失われ、鉄欠乏性貧血の原因になることがあります。
また一部の歯周病菌は、血液中の鉄分を好んで栄養源とします。
そのため、出血によって菌が増殖し、歯周病をさらに悪化させるという悪循環に陥ることも考えられます。
歯周病は初期段階の場合、虫歯と違ってほとんど自覚症状がありません。
そのため、知らず知らずのうちに進行し、貧血が頻繁に起こることなどによって発症に気付くということもあります。
このように、歯周病の発症に気付いた頃には、すでに症状が進行している可能性が高いです。
貧血が歯周病に与える影響
歯周病と貧血は相関関係にあります。
そのため、貧血を起こすことによって歯周病に影響を及ぼすことも考えられます。
貧血状態になると全身の血流が悪化し、歯茎を含む身体の免疫力が低下します。
免疫力が下がると、歯周病菌への抵抗力が弱まるため、歯茎の炎症が悪化しやすいです。
また貧血を起こすと、コラーゲンの生成が滞る可能性があります。
コラーゲンは、歯茎などの健康な組織をつくるために不可欠な成分であり、不足すると歯茎の修復や再生が遅れ、歯周病が進行しやすくなります。
ちなみに貧血は、単純に栄養の摂取が不足することでも発症します。
まとめ
日常生活において貧血気味の状態が続いているという場合、口内環境も悪化している可能性があります。
そのため、自覚症状の有無に関係なく、一度歯科クリニックに相談することをおすすめします。
自覚症状がなくても、検査を受けることで歯周病になっていることが発覚するケースはとても多いです。
また歯周病のケアを行うには、セルフケアだけでなく歯石除去などの施術も必要です。

