口臭は、本人だけでなく周りの方にまで影響を及ぼす問題です。
放置していると、周りに不快な思いをさせるだけでなく、人間関係にまでヒビが入ってしまうおそれがあります。
また口臭にはさまざま種類があり、病的口臭の一つに“魚臭症”というものがあります。
今回はこちらの概要や原因、対処法などについて解説します。
魚臭症の概要
魚臭症は、トリメチルアミン尿症とも呼ばれる疾患で、身体から魚が腐ったようなニオイを発するというものです。
ニオイの原因物質は、魚の生臭さの正体と同じトリメチルアミンという成分です。
通常、こちらの物質は肝臓でニオイのないトリメチルアミンオキサイドに分解されますが、魚臭症の場合はこの分解がうまくいきません。
また体内で発生したトリメチルアミンが、呼気や汗、尿などに含まれて体外に放出されることでニオイが生じます。
魚臭症の主な原因
魚臭症の主な原因は遺伝です。
両親から受け継いだ2本の遺伝子の組み合わせが、ニオイのない物質(無臭化酵素)をうまくつくれない場合に発症します。
この酵素は肝臓にあり、魚などに食品に含まれるトリメチルアミンを無臭の物質に代謝する役割を担っています。
この機能が低下することで、口臭などが魚臭くなるという仕組みです。
また発症年齢としては思春期以降が多く、男女比は1:1ですが、女性の方がやや多い傾向にあります。
女性の場合、ホルモンバランスの変化によって症状が強く現れることもあります。
ちなみに細菌性膣症などの一部の疾患では、局所的に魚のような生臭いニオイを伴うことがあります。
魚臭症の対処法
魚臭症は症例が極めて少なく、根本的な治療法についてはまだ確立されていません。
しかし、食事制限によってある程度改善が見込めます。
具体的には、トリメチルアミンを多く含む特定の魚介類や卵黄、豆類などの摂取を控えることで、ニオイの発生を抑えやすくなります。
またストレスを軽減したり、規則正しい生活を送ったりすることも、魚臭症の対処法として有効とされています。
さらに、お酢を摂取することにより、アルカリ性のトリメチルアミンのニオイが中和される可能性もあります。
まとめ
魚臭症は日本人のわずか数%しか発症しない疾患です。
そのため、最初発症したときは何が原因なのかまったくわからない可能性があります。
もし口臭だけでなく、身体全体から魚の腐ったようなニオイがするという場合は、魚臭症を疑いましょう。
また対処するためには、歯科クリニックの口臭専門外来など、専門知識を持つ医師がいるところに相談することをおすすめします。

