物理療法は、さまざまな物理的エネルギーを利用し、症状を改善する治療法です。
顎関節症の治療法としては、マウスピースを使用するスプリント療法や薬物療法などが一般的ですが、物理療法が併用されることもあります。
今回は、顎関節症の物理療法にはどのようなものがあるのかについて解説します。
低周波療法
顎関節症の物理療法の一つに、低周波療法があります。
こちらは顎関節周辺にパッドを貼り付け、微弱な電気刺激を与えるというものです。
顎関節症を発症している方は、口の開閉がうまくできなかったり、開閉時に痛みを覚えたりします。
低周波療法を受けることで筋肉の緊張をほぐし、血行が改善されるため、痛みを和らげたり口の開閉をスムーズにしたりする効果が期待できます。
マッサージ
顎関節症の物理療法としては、マッサージも挙げられます。
歯科クリニックで行われるマッサージは、指で顎周辺にアプローチするものです。
具体的には、特にこめかみや頬骨の下あたりの筋肉、側頭筋や咬筋をさすったりもんだり、押したりすることで刺激を与えます。
こちらは血行改善と筋肉の緊張緩和に効果的です。
ちなみに、マッサージは方法さえマスターすれば、患者さん自身で行うことも可能です。
より血行が良くなることから、自宅での顎関節のマッサージは、お風呂で行うと良いとされています。
その他の物理療法
その他の物理療法としては、温罨法や運動療法などが挙げられます。
温罨法(おんあんぽう)は、ホットパックや蒸しタオルを患部に当てるという方法です。
温めることで血行を促進し、筋肉のこわばりを和らげます。
顎関節に炎症や腫れがある場合は、冷湿布を使用することもあります。
また運動療法はいわゆるストレッチであり、顎の筋肉や靭帯の柔軟性を高めるためのストレッチや、口の開く量を増やす訓練などを行います。
こちらはマッサージと同じく、自宅でできるセルフケアとしても推奨されています。
ちなみに、歯科クリニックによっては、低出力レーザー照射を採用しているところもあります。
低出力レーザー照射は、名前の通り患部に低出力のレーザーを照射し、痛みを和らげる治療法です。
まとめ
顎関節症の物理療法は、一般的に保険診療で受けることができ、スプリント療法や薬物療法と組み合わせられます。
もちろん、すべての歯科クリニックで前述した物理療法を受けられるとは限りませんが、さまざまな治療によって顎関節症の症状にアプローチしてくれることは確かです。
顎関節症は悪化すると非常に厄介な疾患であるため、少しでも違和感がある場合は早めに通院しましょう。

