歯周病の発症リスクは、ブラッシングや定期検診などの対策を取っているかだけでなく、摂取する食べ物によっても変わってきます。
また歯周病につながる成分の一つに、トランス脂肪酸というものが挙げられます。
今回は、トランス脂肪酸の概要や歯周病のリスクを高める理由、トランス脂肪酸が含まれる食品について解説します。
トランス脂肪酸の概要
トランス脂肪酸は脂肪酸の一種で、特にトランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸です。
二重結合の構造によってシス型とトランス型に分けられ、トランス型は工業的な加工や反芻動物の体内で生成されます。
またトランス脂肪酸は、身体に良くないものとしても有名です。
トランス脂肪酸の過剰摂取は悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを増やす効果があるため、動脈硬化を進行させたり、心臓病のリスクを高めたりします。
さらに、肥満やアレルギー性疾患との関連も指摘されています。
トランス脂肪酸が歯周病のリスクを高める理由
トランス脂肪酸は、体内で炎症を引き起こす性質を持っています。
歯周病は、歯周組織の炎症が進行する疾患であるため、トランス脂肪酸を摂取することで歯周病の進行が早まってしまう可能性があります。
特に重度の歯周病の場合、歯を支える歯槽骨を破壊する働きが加速するおそれがあります。
またすでに歯周病の炎症によって痛みが出ている場合、トランス脂肪酸が痛みを強めることも考えられます。
その他、歯周病菌の活動を活発化させることも、トランス脂肪酸のデメリットです。
トランス脂肪酸が含まれる主な食品
トランス脂肪酸が含まれる食品は、加工食品と天然に存在する食品の2つに分かれます。
加工食品で有名なのは、マーガリンやショートニングです。
マーガリンは、常温で液体の植物油を固形化する際、水素添加という加工が施される過程でトランス脂肪酸が生成されます。
またマーガリンやショートニングが含まれるケーキや菓子パン、ドーナツや揚げ物などの食品も要注意です。
さらに天然に存在するものでいうと、牛肉や羊肉もトランス脂肪酸を含んでいます。
これらの反芻動物の胃の中で微生物が働き、不飽和脂肪酸の一部がトランス型に変換されるという仕組みです。
まとめ
健康の意識が高い方の中には、トランス脂肪酸が健康に良くないことを理解し、意識して摂取しないようにしている方も多いでしょう。
しかし、特に食生活について気にしていない方は、知らず知らずのうちに多く摂取している可能性もあります。
せっかくデンタルケアを徹底しているにもかかわらず、食生活で台無しになるのはもったいないため、この機会に避けることを検討してみてください。