表面麻酔は、事前にジェルやスプレーを歯茎に作用させ、麻酔針を刺す際の痛みを軽減するというものです。
痛みに敏感な患者さんにとってはなくてはならない処置の一つですが、実は表面麻酔には他にもメリットがあります。
今回は、意外なメリットの内容について解説します。
唾液の分泌を抑えて治療しやすくなる
緊張や痛みのストレスは、口の中の自律神経のバランスを乱し、時にサラサラとした唾液を過剰に分泌させます。
虫歯治療、特に詰め物や被せ物を接着する工程では、水分や唾液は最大の敵となります。
少しでも湿気があると接着力が大幅に低下し、将来的な詰め物の脱落や二次虫歯を招くからです。
表面麻酔によって痛みとストレスが遮断されると、口腔内は穏やかな状態に保たれ、過剰な唾液の湧き出しが抑制されます。
これにより、歯科医師は患部をしっかりと乾燥させた理想的な環境で治療を行うことができ、接着の精度が上がって治療そのものの寿命を延ばすことにつながります。
精密な治療がしやすくなる
治療中にチクッとした痛みを感じると、人間は無意識に顔を背けたり、体をピクッと動かしたりしてしまいます。
歯科治療はミクロン単位の非常に繊細な作業であり、高速回転する器具で歯を削るため、患者さんの急な動きはターゲット以外の健康な歯や歯茎を傷つける原因になります。
表面麻酔を効かせて初期の痛みを完全に排除しておけば、患者さんは不意の痛みに怯えて身構える必要がなくなります。
完全に静止した状態を維持できるため、歯科医師は手元を極限まで安定させることができ、虫歯の部分だけを正確に削り取るような、精密で質の高い治療が可能になります。
薬液が入る痛みまで緩和する
麻酔注射の痛みには、針が刺さる瞬間のチクッとする痛みと、薬液が組織を押し広げながら注入されるときの圧迫痛の2種類があります。
表面麻酔は前者にしか効かないと思われがちですが、実は後者の痛みも大きく和らげます。
表面の粘膜が十分に麻痺していると、針が少し深く入る際も周囲の組織の緊張がほぐれているため、薬液がスムーズに拡散しやすくなります。
これにより、組織が無理に引き裂かれるような強い圧迫感が伝わりにくくなり、電動麻酔器による超スロー注入と組み合わせることで、無痛状態を作り出すことができます。
まとめ
歯科クリニックで行われる虫歯治療では、ほとんどのケースで麻酔が使用され、通常は表面麻酔も併用されるケースが多いです。
また表面麻酔は、単純に針を刺すときの痛みを減らすだけでなく、その他にも治療をスムーズに完結させるためのさまざまなメリットを持っています。
つまり、表面麻酔にはメリットしかないということです。

